歯科医が抜歯を勧めるとき
皆さんの歯は、親知らずを除いて28本あり、多ければ多いほど自立して生活できるという研究結果が出ています。上の歯が14本、下の歯が14本あることで、噛み合わさり、しっかり咀嚼できることと、綺麗な発音ができます。1本でも大切な歯を失うのは、患者様にとって不安が大きいとは思いますが、時によっては歯科医が抜歯を勧めることもあります。状態の改善が難しい歯を残しておくと、顎の骨が減り、いつかやっぱり抜歯するしかないと思った時には、その歯の部分を補う治療をしようとする時に難易度が上がります。また放置することで誤嚥性肺炎などの全身の病気を引き起こしたり、智歯周囲炎という腫れや激痛を伴う場合があります。
①歯根破折を起こしている
歯の根っこの部分で、歯に縦にひびが入っている状態です。歯の根っこの治療(根管治療)をした神経のない歯に起こりやすい症状です。そのままにしていると、細菌を含む唾液が歯周ポケットに入り込み、結果的に顎の骨が減ります。初めは痛みがなく、噛んだ時に違和感がある程度なため、残すことを希望される方が多いですが、将来的に激痛やひどい腫れが生じる可能性もあります。
②重度の歯周病により治療が難しい
重度の歯周病になると、歯周ポケットが深くなり、細菌が奥深くまで入り込みます。こちらも顎の骨が減る原因となり、インプラントや入れ歯を作製しようとした時に難易度が上がります。
③隣の歯に影響している親知らず
親知らずを残しておけば、いつか役に立つときがあるときがあるのではないかと思われるかもしれませんが、親知らずが倒れてもしくは、横に生えている場合、隣の歯との間が虫歯になったり、歯周病になる場合が多く、隣の歯を守る意味でも抜歯が理想的です。
④歯の根っこだけ残っている(残根)
神経がない場合が多く、特に高齢者の方が放置されている場合が多いですが、食べかすが溜まりやすく細菌の住処になっております。免疫力が落ちたときに、細菌感染がお口から全身に広がり重篤な症状を引き起こすこともあります。